60代女性からのご質問
Q.もう高齢ですので指が動くかどうか不安です。
特に定年を迎えた自分のような者が、ピアノを始めるにあたり、
若者と同じ練習法でよろしいのでしょうか?
それとも、何か創意工夫がありますでしょうか?
A.
こんにちは。ご質問ありがとうございます。
新年にあたり、このような前向きな質問をいただいたこと、
本当にうれしく思います。
何事も新しいことを始める時にはいろいろ不安がおありだと思います。
特に身体的な技術を要するものであれば、身体がついていくか
心配ですよね。
ピアノの訓練はまず最初は楽譜の読み方、運指など基礎的な訓練を
ゆっくり始めていきます。
これは4歳のお子さんも大人も同じです。
ですから「若者と同じ練習方法でよろしいのでしょうか?」という
質問のお答えはイエスです。
何か創意工夫という点から考えてみますと、
大人だからできることを味方にしてみるのはどうでしょう。
大人は、理論的に考え、理解し、それを練習に取り込むことができます。
たとえば8分の6拍子などは「一小節の中に八分音符が6こ入る曲」
という定義です。
4/4拍子の時は八分音符は四分音符の「半分」になります。
四分音符が「タン」なら八分音符は「タタ」
つまり、四分音符の「0.5個分」という考え方です。
8分の6拍子になると八分音符を「1」と考えます。
♪♪♪=「タタタ」ではなく「タンタンタン」となるのです。
「どうして8分の6になると半分のものが1になるの?」
「♪はタタって先生言ってたのにどうしてタンなの?」
と率直な疑問を子どもからぶつけられることもしばしば。
でも大人ならこの意味がきちんと理解できますよね。
このようなことは指運びなどでも役にたちます。
なぜここでこの指を使うのか。それは次にこう展開していきたいから。
このメロディーをスラーで弾くために、どうしてもこの指で
終わらないと不可能だから。などなど。
音楽は表現するものですが、そのための非常に理論的な知識、
練習なくしてありえません。
こういったこともぜひ楽しんでください。
私は大人のピアノ、大人から始めるピアノには大賛成、
心から応援しています。
今まで大人の生徒さんをレッスンさせていただき、
すばらしく生き生きされている姿を何人も見てきました。
人生において楽しみを感じながら、なおかつ身体、頭脳を
きたえられる音楽というものに、改めて感動と驚きを感じています。
大人の方にしか分からない、出せない味というものがありますから。
ぜひ楽しんで、頑張ってくださいね。
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